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身体機能で変わる手すりの取付方

1:片麻痺

歩行時、方向転換時に体のバランスを崩しやすいため
手すりは通常よりも高めが使いやすいです。
よこ手すりはおヘソの位置ぐらい、
たて手すりは上に長くなります。
片麻痺の方と女性看護士

【階段での動き】

麻痺側の足から踏み出すのが基本です。
階段を上がる場合…先に健足から上げる。
階段を下りる場合…先に麻痺足から下ろす。

階段の手すりは麻痺のない手で持ちます。
上がる時、下りる時で持つ側が変わるので、階段手すりは両側につけるのが理想です。
正面を向いて下りずに、後ろ向きに下りる方法もあります。
その場合、手すりは片側の壁だけでOK。

【浴室での動き】

浴槽へは健側から入ります。立位でのまたぎ動作が出来ない場合は、
バスボード等を利用して腰を下ろした状態で健側から入ります。
利用者の身体機能と浴室の形状で、浴槽への浸かり方や浴槽からの出方は変わります。
その為、まずは入浴動作を確認した上で、健側の手で持てるように手すりの位置を決める必要があります。

【こんなことにも注意!】

・階段・浴室等の床は滑らないように工夫しましょう。
 (ただし、滑らな過ぎるのも注意、麻痺足が引っ掛かります。)
・片麻痺の方が手すりを利用する際は、片手で体を力強く引き上げることもあります。
 手すりと壁の両方に十分な強度が必要です。
・斜面の上でバランスを崩しやすいので、大きなスロープは控えましょう
・安全にまたげる段差であれば、運動だと思って段差を残しましょう。(バリアアリー)

【入院中の場合】

脳卒中の後遺症による片麻痺で、退院に合わせて手すり設置を行うことがあります。
その場合は、病院や行政の理学療法士(PT)・作業療法士(OT)等の
セラピストとの連携が重要です。病院でリハビリを行い、
回復期から維持期(発症から6ヵ月が目安)に入ったところで、退院になります。
家に戻ったら、機能が低下してしまった!とならないためにも、安心して動ける
動作環境を整え、身体機能の維持・向上を目指す住宅改修を行いましょう。

2:パーキンソン病

パーキンソン病は脳から出す運動の指令が
上手く伝わらず、スムーズに動けなくなる疾患です。
住宅改修プランを立てるときは
まず、転倒や転落防止を考えます。
パーキンソンの方

【住宅改修前の準備】

廊下や階段、部屋の中、障害物になる余計な荷物の片付けから始めましょう。
その上で、転倒の恐れがある所に手すりなど
体を支えるものを取り付けるといいと思います。

【段差解消について】

床の段差解消は必要ですが、スロープの多用は避けましょう
バランスを取りづらくなる(姿勢反射障害)ので、斜面を歩くと逆に危険です。
SSS(摺り足で、滑りやすい、スロープ)にならないように気を付けましょう!

【住宅改修の方針】

薬の作用が効いているONと効いていないOFFでADL(日常生活動作)に差が出ます。
どちらに合わせて住宅改修をするかは、
ご家族・理学療法士などと相談して決めるといいと思います。

【手すりについて】

体が思うように動かない為、手すりをたくさん付けても上手く使えない場合があります。廊下など長い手すりをせっかく付けても素通りしてしまうこともありますが、逆に床のテープや壁のたて手すりなど「きっかけ」を作ると、それを目標に体が動く場合もあります。「線の手すり」よりも「点の手すり」の方が効果を感じる場合があります。
パーキンソンの方向けの手摺取付位置

【日常生活と運動】

日常生活がリハビリになります。
体が思うように動かないことから、何事にも消極的になりがちですが
体を動かさないでいると、筋肉や関節がますます動かなくなります。
身のまわりのことを自分で行って、運動量の低下を防ぎつつ
積極的に外出したり、趣味を生かしたり…、
住宅改修で気持ちを前向きにできる環境づくりを目指しましょう!

3:関節リウマチ

関節リウマチは、関節に炎症が生じて痛み・腫れ・変形が
起こり、関節の機能が徐々に障害されていく疾患です。
両手・両足の指関節が朝こわばることから始まり、
腫れと痛みがさまざまな関節に出現してきます。
リウマチの方

住宅改修で注意したいことは、

進行性の疾患であること。

・あまり進行せずに快方に向かう人
・徐々に進行する人
・急速に進行する人
…と程度は人によって様々ですが、小さな関節から大きな関節へ左右対称に
進行していく疾患のため、将来を見越したプランニングも必要になります。

関節に無理な負担をかけない住環境を整えること。

床の段差解消は必要ですが、スロープの多用は避けましょう。
バランスを取りづらくなる(姿勢反射障害)ので、斜面を歩くと逆に危険です。
SSS(摺り足で、滑りやすい、スロープ)にならないように気を付けましょう!
〈 玄関 〉
・掴む手すりよりも平手すりや下駄箱に手を置いて体を支えながらの段差昇降を考える
・上がりかまち段差が高ければ、踏み台を置き膝などの関節負担を軽減する
〈 廊下 〉
・足の痛みや変形で摺り足歩行になる場合は小さな段差も解消する
・部屋のドアノブは握り玉からレバーハンドルに替えて握りやすくする
〈 居室 〉
・床生活ではなく、テーブル・椅子・ベッド等立ち座りの容易な環境にする

手すりの形状はよこ手すりを優先して考えること。

たて手すりを握れるか、寄りかかりやすい平手すりにするかなど
手すりの形状を慎重に選択する必要があります。

4:変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節軟骨の老化・擦り減りの為
関節の痛みや運動制限が起こる疾患です。
日常動作を無理のない姿勢で行う工夫が必要です。
変形性股関節症の手

トイレ・浴室での立ち座り動作では手すりがあると患部への負担を軽減できます。
入浴の際はシャワーチェアや浴槽台を利用し、股関節を鋭角に曲げないようにしましょう。
手術を行った後であれば、股関節をひねる動き(外旋・内旋)で
脱臼しやすくなる
ので、浴槽のまたぎには注意が必要です。
バスボードで腰かけて浴槽に入る等、福祉用具も合わせてプランニングしましょう。
浴槽が深くてどうしても入れない場合は、思い切って
またぎやすい浴槽への入れ替え工事も検討してみましょう。

5:骨折

高齢者の骨は若い人に比べてもろくなっているため
骨折しやすくなります。
高齢者が骨折する原因は、ほとんどが転倒なので
住環境の整備による予防が重要です。
骨折の人

【高齢者に多い骨折】

脊椎圧迫骨折・・・・・・・・・・・・の骨折
大腿骨頸部骨折・・・・・・・・・・・股関節の骨折
橈骨(とうこつ),尺骨遠位端骨折・・手首の骨折
上腕骨外科頸骨折・・・・・・・・・・の骨折

【骨折の予防】

転倒骨折を予防するためには、適度に運動することやカルシウムを多く
含む食事を摂ることが必要ですが、手すりも転倒予防に有効な手段になります。
ただ 転倒して骨折した後に手すりをつける場合は、いずれ完治するのであれば
手すりを付け過ぎないように注意しましょう。
転倒を誘発する危険な場所は意外と住んでいる本人は見つけにくいものです。
ご家族やケアマネさんが気付いてあげると転倒予防につながります。

6:認知症

認知症の人は、運動機能の低下や情報処理能力の障害などに
よって そうでない人の約2倍転びやすいと言われています。
その為、転倒防止策としての手すり設置や段差解消が必要です。
ご本人と介助者の負担軽減を考えたプランニングを行いましょう。
認知症の方

住宅改修で注意したいことは、

大きな変更を控える。

間取りの大きな変更や、慣れない設備の設置で混乱する可能性があります。
建具等の取り替えも慎重に行います。開き戸を引き戸に替える程度なら
いいと思いますが、真ん中で折れる扉や車いす対応の特殊なドアに替えると
使い方がわからなくなってしまう可能性もあります。

工事中に在宅してもらう。

ご本人がデイホーム等に行っている間に工事をすることもあると思いますが、
できれば、工事しているところを見て頂き
家の中が変わることを確認してもらった方がいいと思います。

ご家族の要望をできるだけ聞く。

動き回らないようにするご要望がよく出てきます。
「2階に上がらないように鍵付きの柵を付けたい」とか、
「勝手に外出しないように、本人が開けられない位置に鍵をつけてほしい」などです。
ご本人の自尊心を傷つけかねないことなので、躊躇してしまう依頼も受けますが
家族や介助者にとって必要なことであれば
無理をしない範囲でいい解決方法を考えましょう。





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